ブログ立ち上げ早々恐縮ですが、書籍出版に関する宣伝をさせて下さい(^ ^)
愛知県弁護士会の弁護士6名による共著です。
「Q&A渉外家事事件の実務と書式」(民事法研究会)
私は元々、国際取引を中心とした企業法務を取り扱ってきましたが、2013年頃から国際家事事件(国際的な要素がある離婚事件や相続事件)も積極的に取り扱っています。
その転機となった案件や、国際的な家事事件(離婚・相続など)の取り扱いについて、書かせて頂きたいと思います。
転機となった事件:オーストラリアでの家事調停(Mediation)
この分野に深く足を踏み入れる転機になったのは、オーストラリアでの家事調停(家事事件に関する調停)に、現地まで行って代理人として出席したことでした(現地の弁護士も同席)。
家事調停という場合、日本では裁判所が主催しているものを指しますが、オーストラリアには民間の調停機関がたくさんあります。私が現地に行った案件では、ある人気の調停官(Mediator)に調停をお願いしようということで当事者の間で合意ができました。
事前に十分な準備をした上で、調停は1日集中方式で行い、その場で合意書を作成してサインするという段取りでしたが、人気と言われる調停官のおかげで、無事に合意に至ることができました。(後日、現地の裁判所に、合意書の内容に沿った同意判決(Consent Order)を出して貰いました。)
サムネイルにも使っているこの写真は、別途家族旅行で行った時の写真です。調停のために行った時は、強行日程で、写真の一枚もありませんd( ̄  ̄)
当時は実際に行くか電話で参加するかしか選択肢がなく、現地の弁護士とも相談の上、実際に行くことを選んだのですが(行ってよかったと思っています)、今ならおそらくオンライン調停も利用できるのではないかと思います。
国際離婚の難しさと、望ましい解決方法
その後、日本国内における外国人が絡む離婚事件(日本人と外国人の離婚や外国人同士の離婚、子供の監護に関する争い、ハーグ条約案件など)も取り扱うようになりました。
外国人が絡む案件には、独特の法律的な問題(どこの国の裁判所で、どこの国の法律に従って決めるのかなど)があると同時に、日本と外国の文化や価値観の違いによる難しさがあります。
典型的なのは、子供に関する考え方で、日本では離婚後は単独親権であるのに対して、外国では離婚後も共同親権のところが多いです。そして実際にも、離婚後も、父親と母親の双方が育児に大きく関わっている場合が多いです。
また、どのような場合に離婚を認めるかということについても、国による考え方の違いが大きいです。
当事者間で合意ができないと、どこかの国の裁判所に、どこかの国の法律に従って決めてもらうしかないですが(どこの国の裁判所か、どこの国の法律か、というのがまた法律問題となります)、可能であれば、話し合いにより、100か0かではなく、双方の国の考え方を取り入れた形の合意ができることが望ましいと思っています。
(その上で裁判所の手続を通す必要がある場合もあります。特に日本の協議離婚は、日本の役所で受理されたとしても、外国に持っていくと効力が認められない場合がありますので、注意が必要です。)
国際相続について
「国際相続」とは、明確な定義がある訳ではありませんが、被相続人(亡くなられた方)または相続人が、外国人であったり外国に居住していたり、あるいは遺産が外国にあるなどして、国際的な要素がある相続案件を指して使われるのが一般的です。
ご依頼頂く案件には色々なパターンがありますが、国内案件と比べて特徴的なのは、あまり紛争性がなくても(国内案件であれば弁護士にご依頼がないようなものであっても)、手続のためにご依頼頂くことがあるという点です。もちろん、紛争性が高いものもあります。
また、海外に資産を有する日本人の方から、生前に、海外資産についてのプランニングをしたい(遺言を作成したりトラストを組成したりしたい)が、外国の弁護士との意思疎通に不安があるので、手伝って欲しいというご依頼もあります。
それぞれについて、また別途詳しく書きたいと思います。
お困りの方へ
国際的な家事事件(離婚・相続など)の場合、関係者が住んでいる国や、財産のある場所も様々で、案件に応じて、どのように進めるのが最善かを判断する必要があります。
また、紛争性が低くても(当事者間でだいたいの合意ができていても)、手続のために、専門家の関与が必要となる場合もあります。
まずは相談したい、必要な部分だけ手伝って欲しい、交渉も含め全面的に任せたいなど、ニーズはそれぞれだと思いますが、ニーズに応じたお手伝いをさせて頂きたいと思っています。
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できるだけ速やかに返信させて頂きます。